鳳鳴は祖父の俳号

日記 メモ そんなの

祖母の25回忌

 祖母がなくなった時は学部の4年で、アパートに帰ったらNTTから電報の知らせが届いていた。公衆電話で再配達の連絡をしたが、緊急の要件だったのでそのまま口頭で内容を伝えてもらった。長崎の浦上駅から佐賀方面に向かう最終の電車に乗る。その車両には私だけだった。「どうされましたか」車掌さんが心配してくれた。傍から見てもわかるくらい顔色が悪かったのだろう。
 座敷には祖母。寝ているだけのように見える。その夜は私がずっとそばにいて通夜をした。
 祖母が亡くなったのを実感したのは、伯母が棺の中の祖母の顔を見て鼻血が流れていたのを拭きとったとき。あれはただ流れだした血で生きている人の鼻血とは違う、と思った。
 葬儀が終わった後、瀬戸内寂聴の般若心経を読んだ。父も同じ本を同時期に読んだらしい。