鳳鳴は祖父の俳号

日記 メモ そんなの

父の声

 10月頃。携帯に着信があった。父からだった。留守電を聞く。「お父さん、もう、入院するから」
父は夏ぐらいから体調を崩し、病院で検査をしてそのまま入院となった。輸血で一時的に改善して退院したが、その後再度入院、緩和療法が選択され自宅介護となり、ほんの数日で帰らぬ人となった。
 携帯を見る。着信履歴を確認する。入院中に呼び出されたり、使いをしたり。留守電のサービスは携帯電話本体に記録するのではなく電話会社が一時的に預かるようになっている。もう音声は残っていなかった。記録された父の声は、たぶんもうない。