舟を編む
辞書編纂の物語。単行本買ってたけど積んでるうちに映画が出た。
学生時代、新明解国語辞典の磁気テープに入ったデータを扱って自然言語処理の研究をやってたのでこの映画は以前から興味があった。しかも1995年で入社三年目の馬締さん、世代的にもかぶる。
辞書編纂の恐ろしく地味で根気のいる仕事。完成するまで十年以上。校正は5回。話中に出てくる「二年前にでた玄武辞典」は新明解国語辞典第四版のことであろう。作業を開始した時に使ってたパソコンは多分FMVでWindows3.1っぽかった。十年後に配属されてきた人が使ってたのはノートPCだったが、この部署あまりにもインターネットから遠すぎる。用例採集はネット経由ではしない方針だったんだろうか。また、1990年当時すでに広辞苑はCD-ROMでPC9801用のが出ていた。6万円ぐらいじゃなかったっけか。そういう点でこの辞書作りはちょっと古い感じじゃないだろうか。
見出し語の説明でその用語を同じ辞書で調べると堂々めぐりをすることがある。当時の新明解国語辞典はこれが他の辞書とくらべて少ないという特徴があった。計算機で辞書を参照して意味を深くたぐって行くと止まらなくなってしまうことがあったのよ。こういうのをすべて人間がチェックしていたというのはすごい。辞書のことばっかり考えていないとできないね。
リリース直前に見出し語の抜けが発覚し全作業を中断して再チェックを行う。これ、LSIの設計をしてた頃に同様のことがあったのよね。設計ミスが頻発し、いったん設計作業を中断して数ヶ月かけて現在の図面をすべて蛍光ペンでチェックする。これは決断するリーダーの方が大変苦しいはずだがおかげで品質は巻き戻すことができた。なのであのシーンはひやひやする。あと、辞書の校正5回は人手でチェックするしかないのでこんなに多いんだろうなあ。
あと、宮粼あおいの所作が美しかった。夜食のラーメン出す手に見とれてしまった。
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次はこれを読みます。
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